キャリアストーリー自分の求めるキャリアと合う組織文化でめぐり逢いを楽しむ

金子尚矢(かねこ なおや)さん

  • 2012年入社 (12年目)
  • 埼玉県所沢市出身

興味のある “地方・田舎”と“やりたいこと”が両方ある、夢のような仕事。

星野リゾートに応募したきっかけは、[星のや竹富島]オープニングスタッフの募集でした。沖縄に興味があったというわけではなく、“地方”に興味があったからです。大学時代、ボランティアで地方の農業体験に行きました。「1次産業の現状を知りたい」という目的でしたが、そこで自分のおじいちゃん・おばあちゃんと同世代の人々から、地元でしか振る舞われることのない日本酒や料理でおもてなしを受け、すっかり魅了されました。一方で、過疎化や農業人口の減少など、多くの課題を直接聞き、地方に人を集めることに貢献したいという考えを持ちました。


しかしながら、新卒で就職したのは都内のコンサルティング会社です。もともと、ファーストキャリアと長期的キャリアは別に考えていました。まずはファーストキャリアとして、3年間はハードワークをこなし、社会人として、またビジネスパーソンとして一人前になりたい。そう考え、条件面などで評価が高く人気のあった会社を選びました。


私が長期的キャリアに求めるものは、2軸がはっきりしていました。1つ目は、ボランティア活動を通じて持った考えである、「地方に人を集めることに貢献できること」。2つ目は、「若いうちから経営や運営責任者の経験ができること」です。このキャリア目標につながる濃密な経験を1社目に期待していましたが、経営戦略というよりはシステム構築や提案業務が主で、パソコンに向かってプログラミングする日々……。入社1年目の年明けには、「このままここにいても、自分の目指す長期的キャリアにはつながらない」と転職を決意しました。そんなときに、大手転職サイトで目にしたのが、[星のや竹富島]オープニングスタッフの募集。「まさにこれだ!」という感じでした。自分の求める長期的キャリアの2つの軸が、星野リゾートの事業展開や組織文化とぴったりと合っていましたし、“開業”というワードも、自分にとってはエキサイティングなものでした。当時の星野リゾートは、廃業寸前の小規模旅館を次々に再生していたため『再生請負人』と言われていて、それはまさに、自分がやりたいことと興味を持っている“地方・田舎”が仕事になる、夢のようなコンサルティング事業に思えました。早速セミナーに参加し、面接を進めていく中で、その思いは揺るぎないものになっていきました。


[星のや竹富島]のオープニングスタッフに応募したのですが、内定をいただいたのは[星のや軽井沢]のサービスチームでした。しかし、面接に来てすでに軽井沢に魅力を感じていましたし、“地方”というキーワードにぶれはなかったので、[星のや軽井沢]での仕事や軽井沢での生活に、何も不安はありませんでした。むしろ、都心に近い距離ですてきな田舎暮らしができることにワクワクしました。


旅館業務未経験からスタートし、2年後には立候補!

入社後は、準備されていたサービスチームのマルチタスク習得トレーニングに取り組みました。旅館の運営業務はすべてが未経験。自分にできることは限られていますから、とにかく一生懸命に取り組み、体得に専念しました。


当時の総支配人にも支えられながら[星のや軽井沢]のサービスチームスタッフとして尽力し、入社2年を過ぎたころ、初めてユニットディレクター(UD)に立候補しました。「生産性やオペレーションに注力するあまり星野リゾート本来の強みであるお客さまへのパーソナルな対応やお客さまとの接点が希薄になっていること」を課題としてプレゼンテーションに挑み、現状分析の甘さなどについてフィードバックをいただきました。UDになるうえで必要な理論性や、分析力・人間性はさらなる向上の余地があるものの、当時の総支配人が抱いていた課題や次期取り組み予定だった内容と合致しているということで、アシスタントUD(AUD)として2年間過ごすこととなりました。


AUD1年目は、UD立候補プレゼンの課題とした内容を受けて、お客さまの滞在ストーリーモデルを台本にし、サービスチームがどのように顧客へのアプローチを増やし、接点を増やすべきか……について取り組み始めました。季節感、時期特有の客層、顧客の期待値など多面的に物事を捉えたうえで、モノ・コト・ヒトの切り口でコンテンツを考え、マーケティングを行います。提供するサービスに意味を持たせたり、ほかとは違うサービスを提供したりすることで、顧客に新しい価値を提案できるのですが、そうした発想をすること自体が初めてであり、どのようにスキルを磨き、どのようにスタッフを巻き込んで業務遂行をしていけばよいのかを掴みきれないまま、あっという間に1年が終わってしまいました。うまく成果を出すことができなかったと反省しています。


AUD2年目は、[星のや東京]が開業する年で、この開業は会社全体が関与する大きなイベントでした。新しい施設が開業する際には、軽井沢からも多くの人員が異動し、軽井沢で培ったスキルを発揮して安定運営を図ります。[星のや東京]開業時にも多くの軽井沢メンバーが異動しました。その結果、軽井沢では想定以上に人員調整に苦しみ、お客さまからのクレームが増えてしまいました。日々、運営の軌道修正に四苦八苦したこともあり、採用計画や異動など、人員管理の大切さを実感した年でした。


いままでの経験を携えてユニットディレクターに挑戦。

入社5年目、[星のや軽井沢]サービスチームのUDに就任しました。AUDとして過ごした2年の間に、UDになる準備をしてきたつもりではありましたが、いざなってみると……在籍140名という大きなチームの全体責任者ですから、とにかく1年目は、ひとことで言うと「いっぱいいっぱい」でした。


最初の1年で流れをつかんだので、2年目は冷静に課題と向き合い、総支配人とともに課題改善に向けて動きだしました。まずは、「立場に関係なく業務の幅を広げ、誰でもどんな仕事でもできるようになる」という取り組みです。以前は、取材対応や改善業務はインチャージというセクションごとの責任者が担当し、新入社員は行わないという風潮がありました。クレーム対応の研修はインチャージメンバーしか受けていないなど、見えない“業務上の階層”のようなものがあったのです。新入社員の関りは浅かった魅力開発も、イニシアティブを持てるよう企画段階から新入社員にも完全に任せ、責任を持ってプロジェクトを遂行できるように変更しました。


AUD時代に経験した人員調整の苦労から、労働環境の改善も試みました。適正な人員管理を行うことで、残業過多などで個々に負担がかからないようにすること。同時に、そのために必要な人員を早めに増やすなどの対処をすることでクオリティも落とさない運営の安定化を図りました。


チーム全員で味わった達成感! 総支配人として迎えた開業の日。

入社7年目となる2018年9月、総支配人に立候補しました。もちろん、長く慣れ親しみ、運営がわかっている[星のや軽井沢]の総支配人立候補です。現在の[星のや軽井沢]は、開業から10年、参入する外資系企業の水準を意識しながら、CSを見て改善、またCSを見て改善を繰り返し、至ったものです。これからの10年は、[星のや]独自のこだわりやオリジナル価値を高めることが重要で、「谷の集落に滞在する」ためのコンテンツを再設計したいというコンセプトを打ち出しての立候補でした。


この立候補が、大きな転機をもたらしました。星野リゾートの立候補プレゼン大会は、各地にある星野リゾートの全事業所からライブ視聴できるうえ、あとから発表者全員分の動画を視聴することもできるシステムで、全国の社員が評価をします。その評価がよかったこと、そして軽井沢をよく知っているということから、新ホテル[BEB5軽井沢]の開業を総支配人として経験することになりました。入社前の自分にとってエキサイティングなワードだった“開業”を、初めて経験することになったのです。


開業業務は、コンセプト決めから携わるおもしろさがありました。星野代表と話す機会が多くなり、特にビジネス的な判断の仕方はとても勉強になりました。[BEB5軽井沢]は、これまでの星野リゾートの概念からはみ出すことが必要で、これが難しかったです。決まっていないことが大量にあって期限までに決めなければいけないことが山積みなうえ、予期せぬトラブルも起きました。しかしながら、開業に関わるすべてのセクションでスタッフがひとつになり、2019年2月、無事グランドオープンを迎えることができました。まさに達成感をチーム全体で味わっていました。開業業務というのは独特の雰囲気があると聞いていましたが、本当にそのとおりだと思います。星野リゾートに入社してからの思い出はいろいろありますが、間違いなく忘れられない1日となりました。


仕事も暮らしも、予期せぬ“めぐり逢い”を楽しみたい。

[BEB5軽井沢]の開業を終え、現在は[星のや軽井沢]に戻っていますので、未来の[星のや軽井沢]の話を、総支配人として描く[星のや軽井沢]の話をさせてください。


まず、従業員が[星のや軽井沢]を愛していること。[星のや軽井沢]の魅力を語れること。そして、それを世の中に発信できること。その結果、多くのお客さまが[星のや軽井沢]に来てくださり、リピートしてくださる。スタッフはその成果を仕事として楽しみ、また次の挑戦をしていく。こんな姿を理想としています。オペレーティングやおもてなしだけでなく、自施設を愛し魅力を伝えるという広報の分野も、顧客の獲得というマーケティングの分野も、すべて自分たちで担えるチームにしたいです。本当の意味での“サービスチーム”という考え方……まさに、これが星野リゾートで働く楽しさだと、私は思っています。


自分自身の未来の話をするならば、地方が好きなので、新事業などで予期せぬところに行くのも楽しいだろうな、とも思います。もともと、沖縄の[星のや竹富島]開業に応募して星野リゾートに入社しましたから、軽井沢で働き始めたのも予期せぬことでした。住んでみたら、軽井沢はとてもよいところで、新しい家族も増え、軽井沢ライフを満喫しています。一生ここに住みたいと思える場所です。[BEB5軽井沢]の総支配人になることも想定していませんでした。[星のや軽井沢]の経験がなかったら、若い人の旅行に対する考えや、どうしたら若者がもっと旅を楽しめるか……と考えることはなかったと思います。


[星のや竹富島]を希望していた自分が予期せぬ[星のや軽井沢]に配属となったことで、その経験が[BEB5軽井沢]での仕事に活かせました。沖縄を希望していた自分が予期せぬ軽井沢で働くことになったことで、一生住みたいと思える場所と出会いました。すべてはめぐり逢いを楽しんだ結果です。事業でも施設でも地域でも、仕事でもプライベートでも、今後もめぐり逢いを楽しみたいと思っています。


もうひとつ、自分の人生でまだ果たせていないことがあります。それは、海外で暮らしてみるということです。人生で一度は経験してみたいと思っているので、海外施設の開業など、会社の機会でよい“めぐり逢い”があれば、ぜひチャレンジしたいと考えています。


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