キャリアストーリー人を幸せにできる無限の可能性に誇りを感じる

井出咲奈(いで さきな)さん

  • 2018年入社 (6年目)
  • 長野県佐久市出身

新卒入社5年目の一大決心! 武者修行のため修復師の本場イタリアへ。

私は長野県佐久市の出身です。中学校卒業後に実家から離れた高校に進学し、その後は東京の短期大学へ進学しました。長野県は首都東京が近いので、東京に進学・就職する人は多いのですが、私もそのひとりでした。国際交流に興味があり、短大では英語を中心とした語学を専攻していました。


卒業後の就職先に選んだのは教育情報産業で、学生に向けて就職・進学・留学などの進路指導を行っていました。「社会人とは……」から始まり、ビジネスの基本を学べたことがありがたかったです。実は、高校時代から修復師を夢見ていて、日本の美術大学で学びたいと思っていました。しかし、経済的に厳しかったので、一度就職し、自分でお金を貯めてから進学しようと考えていました。入社3年目には、自分なりに満足できる営業実績を収められるようになったこともあり、「工芸修復の発祥の地であるフィレンツェで学びたい」という夢に向かうことにしました。こつこつと資金を貯め、入社5年という区切りを迎えた。


イタリア語習得とビザの関係で、まずは語学学校へ入学しました。当初は、ある程度イタリア語ができるようになったら修復工房に弟子入りして技術習得することが目標でしたが、イタリアでは美術品や工芸品に関する学問が確立されており、たくさんの学校があります。現地で知り合った人々のアドバイスやサポートをいただきながら、入国して半年後に美術学校への入学を目指して受験勉強を開始。絵画修復の先生のもとで勉強を重ね、入国から約1年後、まずは公立の美術学校を受験しました。入学試験は3次試験までありました。デザイン模写の1次試験は通過したのですが、2次試験で落ちてしまい、人気の公立学校へは入学できず……。私立の美術学校へ入学し、木工修復コースを専攻しました。


学校に通うには、経済的なことも課題になります。レストランやおみやげ屋、通訳などをして少しですが収入を確保しつつ、在学期間の3年間、みっちり勉強しました。3年目は大半が現場実習です。卒業後は、実習に通っていた工房でそのまま就労を続け、美術修復も体験させていただきました。日本ではとても触らせてもらえないような作品も手がけられるイタリアの風土のおかげで、貴重な体験ができたことに感謝しています。卒業後もしばらくそのような生活を続けていましたが、滞在許可証の手続きやプライベートの関係で、5年間のイタリア生活をいったん終え、帰国しました。


東京・海外暮らしを経て信州のよさを再認識。語学力を活かせる星野リゾートで働きたい!

東京とイタリアでの生活を経て、約10年ぶりに故郷である信州に戻りました。再びイタリアに戻るには、ビザの関係で1年以上時間を置く必要があります。このころはまだ、信州に留まるのか、イタリアへ戻るのか、決まっていない状態でした。そんなとき、地元の和家具工房にご縁があり、和家具の修復に携わることになりました。イタリア修復は古典的で、修復の基本はすべての工房で共通しています。それに引き換え、日本の工房は、個々で使う材料も修復方法も異なっており、イタリアでの修業はほぼ役に立たない状態。私にとってはゼロからのスタートに近いものでした。

1年ほど和家具に触れてきましたが、自分が学んできたものとは異なっており、自分の好きな“修復”という道を日本で続けていくことへの葛藤がありました。一方、イタリアへ戻っても、就職難のイタリアで、就労ビザの関係で勤め先に多くの負担をかける外国人が工房に就職するのはとても難しい状況。地元で過ごすうちに、徐々に地元信州のよさを再発見し、愛着がわいてきました。帰国したころはイタリアへ戻りたいと考えていましたが、30歳を迎え、将来を真剣に考えたとき、「自然に恵まれたこの故郷で、地に足つけた安定感のある暮らしをするのもいいかもしれない」と、気持ちが傾いていました。そんなとき出会ったのが星野リゾートです。

星野リゾートは、現在は数々の施設を運営していますが、この軽井沢が発祥の地です。長野県佐久市に生まれた信州人としてもちろん知っていましたし、客として、温泉の利用経験も結婚式の参列経験もあります。しかし、イタリアで生活していたこともあり、星野リゾートが全国や海外へ事業展開しているとは知りませんでした。

実は、「こんなことがやりたい」、「この仕事がしたい」という具体的な希望よりも、「星野リゾートで働きたい」という気持ちが強かったです。日本の修復工房はオーナーと2人きりなうえ、お客さまとのやり取りはすべてオーナーでしたので、人との関りがとても少ない職場環境でした。しかし私は、もともと営業の仕事をしていましたので、人と話すことが好きです。同じ修復工房でも、イタリアでは和気あいあいと話しながら楽しく仕事をしていたので、モノだけと向き合うのではなく、ヒトとの会話や関りを求めていたのだと思います。地元で就職するにあたって、イタリアでの生活や語学力も活かし、幅広い国籍や年齢層のお客さまと向き合いたい。その思いにマッチしたのが星野リゾートです。星野リゾートでならどんな仕事でもやりたいと思って面接を受けました。

入社してまず驚いたのは、さまざまな出身地から人が集まっていることです。軽井沢を本拠地とする星野リゾートだから、私のような地元出身のスタッフが多いのだろうと思っていましたが、全国各地から集まっていました。


配属されて知る、星野リゾートにおける“サービスチーム”の奥深さ。

入社後は[軽井沢ホテルブレストンコート]サービスチームに配属となりました。『サービスチーム』というのはユニット名ですが、同時に、星野リゾートの代表的な働き方を表現する言葉でもあります。サービスチームの役目は、チームの誰もがフロント・飲料サービス・ハウスキーピングなどの業務をマルチタスクで行うこと。それにより、すべての滞在シーンでお客さまと携わることのできる仕事です。日々の接客を通し、お客さまの滞在全般に関する“気づき”が得られるので、魅力創造や新商品開発にもつながります。商品・サービスの提供を行いながら未来の顧客を創造する働き方=サービスチームという概念です。

星野リゾートのキャリアに対する考え方には、『S-pro』と『M-pro』という2つの軸があります。Mはマネジメント軸、Sはサービス軸を表しており、星野リゾートにおけるサービスとは、 “滞在の演出”を指します。また、[軽井沢ホテルブレストンコート]のサービスチームでは、もうひとつ、大切にしているものがあります。それは、茶人・千利休がまとめた、茶道の基本であるおもてなしの心を体現した考え方『利休7則』です。星野リゾートにおける接客は、私が入社前に持っていた接客のイメージより意味深い・奥深いものでした。

私は現在ラウンジのセクションで、季節ごとのドリンクの制作やクリスマス・バレンタイン・夏のナイトラウンジ向けの魅力開発などを行っています。ドリンクの制作や魅力開発はサービスチームの担当ですが、提供するデザートとの相性がとても重要ですので、パティシエチームとの連携は欠かせません。また、その魅力を発信する広報チームとの連携も必須ですので、チーム内外の仲間と仕事をすることが多いです。


“チーム”だからこその喜びがある。“チーム”のためになりたい自分像がある。

ラウンジでの取り組みで感動したエピソードがあります。『母の日』をテーマに、2019年に初めて行った試みでのことです。20~30代の女性と母親が一緒にホテルラウンジを訪れ、お互いに忙しい日常から解き放たれたゆったりとした時間を過ごしていただきながら、改めて娘から母に感謝の気持ちを伝えられる場所を提供する、というものでした。具体的には、予約の段階でメッセージプレートの内容を娘さんと打ち合わせ、当日はお母さまにサプライズで、メッセージとデザートがカーネーションとともに振る舞われます。記念撮影をし、アルバムを作成して、お帰りの際にお渡しするというサービスでした。これは、私の接客経験の中で、お客さまの感動の瞬間に最も多く立ち会うことができた取り組みとなりました。さらに、感動したのはお客さまや私だけではなかったのです。チーム全体が、「本当にやってよかったね」と語り合う、何か心に残るものがずっとある、そんな取り組みでした。メンバー全員で共感しあえたことがとてもうれしく、また、人を幸せにできる可能性が無限であるこの仕事を誇りに思いました。

まだ入社1年目なので、まずはホテルの1年間がどのような流れなのかを把握しているところですが、2年目は1年目の経験を生かして改善し、すべてを“それ以上”にすることが当面の目標です。すでに課題も多々見えているので、その後は業務の精査などが的確にできるようになりたいと思っています。そして、“チーム”ですから、いろいろな意味で、仲間にとって一緒に働きやすい人物になりたいです。働きやすい環境というのは、設備や制度だけでなく、一緒に働くスタッフ同士で作るものだと思っています。みなさん、本当にがんばる人たちなので、この仲間のために、「井出さんと一緒だから働きたい」、「井出さんと一緒だと一緒だと働きやすい」と感じてもらえるような人間になりたいと、心から思います。


信州暮らし・軽井沢暮らしのメリットが生きる、健康志向な毎日。

軽井沢では、健康志向な毎日を送っています。体力作りもしていますよ。見た目とギャップがあるようなのですが、実はじっとしていることが苦手で、休日はルーチンのようにボクシングジムで汗を流しています。

休日にすることと言えば、あとは家事全般です。料理なら、次の休みまでのお弁当の惣菜を作り、小分けにしてパッキングし、冷凍保存しています。食事のバランスが崩れると体調に響くので、野菜や水など、新鮮で良質な、さまざまな食材が手に入るのも、食事に気を使っている私にとっては信州暮らし・軽井沢暮らしのメリットです。パンも大好きで、天然酵母パンにこだわっています。軽井沢に、バターをあまり使っていないお気に入りの天然酵母ベーカリーがあるので、休日に訪れるのが楽しみです。

今年(2019年)の夏、軽井沢で過ごす初めての夏は、繁忙時期で忙しかったです。しかし、よい仲間や生活環境に恵まれ、30代は充実したスタートになったと感じています。


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